ソウルライク市場の新たな挑戦者
『Wuchang: Fallen Feathers』は、急速に拡大するソウルライクゲーム市場に新たに加わった注目作です。十年以上前にFromSoftwareが確立したこのジャンルは、今や多くの開発会社が独自のアプローチを競い合う場となっています。近年では『Lies of P』のNeoWizやRound 8、そしてTeam Ninjaの『仁王』シリーズや『Wo Long: Fallen Dynasty』など、多彩な作品が登場。その中で中国のデベロッパーLeenzeeが『Wuchang: Fallen Feathers』を世に送り出し、独自の戦闘システムを武器に存在感を示しています。
記憶喪失の主人公と謎の病
物語の主人公は、記憶を失った女性海賊・ウチャン。彼女は不治の疫病に冒され、ある日、寺院近くの洞窟で目を覚まします。過去と自身に襲いかかる病の謎を探るべく旅に出る彼女ですが、本作の物語展開はソウルライク作品らしく、NPCの会話や環境描写を通じて断片的に語られます。村人が戸を閉ざして隠れる様子や、戦いによって荒廃した土地が、プレイヤーに世界観を想像させます。
高度に設計された戦闘システム
『Wuchang: Fallen Feathers』の最大の魅力は、その洗練された戦闘システムにあります。プレイヤーは罠や秘密、そして多彩な敵が配置された直線的かつ複雑に繋がるエリアを探索しながら戦い抜きます。筆者はスピード感を重視した両手剣を選択。軽快な連撃や独自の武器スキル、ディシプリンアタック(武器種ごとに異なる強力な技)を駆使して、多様な戦闘スタイルを楽しめました。戦闘中、両手剣のバフ効果により、攻撃速度が向上し、被弾による回復も発動。ウチャンの一連の攻撃モーションはリズミカルで、彼女の華麗な動きが戦場を彩ります。
多様な武器種と自由な育成
本作には五種類の武器タイプが存在し、それぞれ独自の性能とアビリティを持ちます。槍なら遠距離からの突き、片手剣ならバランス型といった具合に、どんなプレイスタイルでも楽しめる設計です。スキルツリーはプレイヤーが自由にリセット可能で、獲得した武器に合わせて自在にビルドを変えられます。これにより、試行錯誤しながら自分だけの戦い方を見つけることができます。
ボスバトルとゲームバランス
『Wuchang: Fallen Feathers』は、巧みに設計されたキャラクタービルドや重厚な世界観が魅力ですが、ボス戦の難易度バランスにはばらつきがあります。序盤は比較的穏やかな難易度ですが、後半になると一転して理不尽なほど攻撃的なボスが出現し、緊張感が一気に増します。このアップダウンの激しい難易度調整は、プレイヤーに強烈なインパクトを残しますが、それだけに達成感もひとしおです。
豊富なソウルライク作品の中で
2025年は『The First Berserker: Khazan』や『Lies of P: Overture』、さらにはマルチプレイ対応の『Elden Ring: Nightreign』など、話題作が次々と登場しています。『Wuchang: Fallen Feathers』もその中に加わり、独自性と完成度の高さで強く印象に残る一作となっています。戦闘のダイナミックさやスキルツリーの奥深さ、魅力的なレベルデザインは、ソウルライク好きにはぜひ体験してほしい内容です。
物語の語り方と課題
ソウルライク特有の「世界観の断片から物語を組み立てる」スタイルは本作でも健在ですが、FromSoftware作品や『Lies of P』ほど洗練されているとは言えません。序盤は病の正体やウチャンの運命が丁寧に描かれますが、キャンペーン終盤になると登場人物や地名の整理が難しく、物語の追跡がやや困難になります。武器やアイテムの説明文から世界の謎を紐解くのが好きなプレイヤーには魅力的ですが、すべてのプレイヤーが物語を十分に楽しめるわけではなさそうです。