アニメ『俺だけレベルアップな件』:世界的ヒットとその影にある課題

新作グッズコレクションが登場

人気アニメ『俺だけレベルアップな件』のファンに向けて、PWR Supplyオンラインストアが限定の新グッズコレクションを公開した。このコレクションには、フーディーやTシャツをはじめとする8点のアイテムが含まれており、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、コロンビア、チリのファンが購入可能となっている。

目玉商品は「ARISE Solo Leveling フーディー」と「Beru シャドウ フーディー」で、いずれも80ドル。また、「ジンウー」や「済州島の戦い」をモチーフにしたTシャツは各50ドル、「ナイトキラー」Tシャツは55ドルで販売されている。さらに、「ナイトキラー」ハット(35ドル)や、ジンウーのステッチ入りマウスパッド・プレイマット(40ドル)、Sランクキーチェーンストラップ(10ドル)も用意されている。

原作とアニメの成功

本作は、原作・Chugongによる2016年の大ヒットWeb小説が基となっている。2024年にアニメ化されると同時に、熱狂的なファン層を獲得。物語は、謎の存在「システム」と遭遇したモンスターハンター、成振宇(ソン・ジンウー)が「システムのプレイヤー」として成長していく姿を描いている。他のハンターとは異なり、振宇は自身の力とスキルを“レベルアップ”によって強化できる能力を持ち、やがてその力は予想を超えるスケールへと展開していく。

声優アレックス・リーの思い

アニメで振宇を演じるアレックス・リー氏は、2025年初頭に放送されたエピソード22〜24の特別上映会の場で、自身とキャラクターとのつながりについて語った。「アジア系移民として、自分自身を彼に重ね合わせた。彼の成長を演じることはとても意味のある経験だった」と述べている。これらのエピソードでは、振宇が回復中の母親の世話を優先しようとするも、強力な虫型モンスターの出現により再び戦いに引き戻される「済州島編」が描かれた。

女性キャラクターの描写に対する批判

『俺だけレベルアップな件』はそのアクション性やストーリーテリングで人気を集め、2024年にはCrunchyrollの「アニメ・オブ・ザ・イヤー」を受賞。2025年1月には第2期もスタートし、さらに注目を集めている。しかしながら、物語構成の一部に対しては批判の声もある。

特に女性キャラクターの描写については、「戦闘系少年アニメ」の進化傾向に逆行しているとの指摘がある。女性キャラクターは背景に追いやられ、振宇の成長を際立たせるためだけに登場する場面が目立つ。たとえSランク級の実力者であっても、個性や内面はあまり掘り下げられておらず、物語上の役割を終えるとほとんど姿を見せなくなる傾向がある。

母と妹の扱いも表面的にとどまる

振宇がハンターを目指す動機の一つは、病床に伏す母親の存在だ。父親が不在であるため、彼は妹と母の生活を支える必要があった。しかし、シーズン2で母を治療した後は、彼女の物語上の存在感が薄れてしまう。妹も時折登場するが、兄の保護対象として描かれるのみで、彼女自身の視点や背景はほとんど描かれない。このような女性キャラクターの表層的な扱いは、他の登場人物にも共通して見られる。

評価と課題の両立

『俺だけレベルアップな件』は、現在もっとも勢いのあるアニメ作品のひとつであることに疑いはない。しかし、キャラクター構成における課題が残ることで、“現代の傑作”と呼ばれるにはまだ一歩及ばないとも言える。豊富なバトルシーンや成長物語の魅力と裏腹に、物語の厚みを支えるはずの脇役たちが十分に活かされていない点は、今後の改善が望まれる部分だ。